2018年02月03日

千本釈迦堂(大報恩寺)

何だかわけが分からなかった。

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千本釈迦堂という有名なお寺に行ったら、入り口に「お亀」の像やら供養塔やらがある。境内にある案内に、この本堂はすごく古い建築で応仁の乱でも焼けなかったとか書いてある。

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境内にある案内によれば、この本堂には「お亀」にまつわる伝承がある。鎌倉時代にこの本堂の造営を任された大工の棟梁が建材を短く切りすぎて困っていたところ、妻の「お亀」が枡組でそろえればよいとアドバイスし、大工は難を切り抜けた。しかし、「お亀」は女のおかげで棟梁が助かったとあっては恥になると自害した。棟梁は上棟の日、亡き妻の面を御幣に飾り、彼女の冥福と大堂の無事完成を祈った、、、「お亀」立派だ、となるらしい。

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とりあえず、「お亀」みたいなコミカルなキャラ(いわゆる「お亀」「お多福」の顔である)が悲劇的に死ぬのはやめてほしいなと思いながら本堂の内部を見ていたら、一角に大量の「お亀」人形の奉納物が現れた。

これがもう不気味至極である。醜悪を通し越して明らかに恐怖を感じさせる作り物が多い。半裸で男性と寄り添っているもの。さらに、男根を象った木彫りに「お亀」が乗っているもの。「お亀」の顔が男根と一体化したもの等数限りない。

「お亀」は不美人の意味もあるから、人間は顔じゃなくて心だ、という話なのかと思っていたが、そもそもそれは「顔」とは別の身体部位を表していたのだ。

実に色んな意味でグロテスクで、どこからどうつっこんでいいのか分からなかったのだが、さしあたって頭に浮かんだのは以下のことである。

「もともと、日本には非常に古い習俗として生殖崇拝があり、子宝に恵まれることを祈願して生殖器を象ったものを作る。神社はもとより、寺院もその仏教教義とは無関係に、このような民俗と関わる場合がある。しかし、それは儒教的倫理が普及して以降はなかなか表に出せない信仰形態であり、千本釈迦堂では、表向き夫を陰でささえる妻の女徳を称揚する物語を掲げている。しかし、その表向きの物語すら現代となってはあまりに男尊女卑的な人権を無視した封建道徳と見なされるようになり、建前論として通用しなくなっているのではないか。」

これは単にこの時私が頭の中に浮かんだものに過ぎず、ちゃんと調べたわけでも、時系列的に物事を考察したわけではない。

実際は、江戸時代の大工の伝承が深く関わっているようだ。

お亀供養塔が出来たのは江戸時代の1718年。この寺は1221年開創だから、だいぶ後の話である。大工の間でこの「お亀」伝承があり、三条通菱屋町の池永勘兵衛という大工が建立した。今でも関西では上棟の時に「お亀」の面をつけた御幣を祀るから、大工の業界内の習俗と結びつきが強い話と思われる。

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いずれにせよ、ちょっと見ただけでも色んな信仰形態や思想背景がぎゅっと詰まっていて、結果としてものすごいシュールさを醸し出しているのが、この寺の魅力ではないだろうか。

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*千本釈迦堂(大報恩寺)
仏教 真言宗智山派
〒602-8319 京都市上京区七本松通今出川上ル
075-461-5973
(市バス50、203「上七軒」下車。今出川通から七本松通を北上。)
管理人の訪問日:2017年11月12日
posted by HIRO at 12:42| Comment(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする