2018年03月11日

橋姫神社

神道の特徴というのは、思想性のなさなんだと思う。

歴史的には「何々神道」というのが随分とあったらしいが、神道そのものには一貫した思想がないから儒教や仏教といった外来思想と結びついて、逆に色んなことが言えたのではないか。

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敢えて固有の思想らしきものを考えたら、自然崇拝なのかなとも思うが、それも絶対的なものではないようだ。

神社本庁という全国の神社を束ねている団体があるが、そこは原発推進派である。少なくとも今となってはエコな感じがしない。

現在の神道は、おおよそナショナリズムと親和性が強いとみなされている。ただ、ナショナリズムは近代以降のものである。国学がその原型を作ったのだとしても、近世以降だ。神道自体はもっと古いものだと考えれば、これも神道本来の思想とは言えないだろう。

もちろん、神仏分離以降の神道を明治以降に始まった「創られた伝統」と見れば、ナショナリズムと親和性が高いのは当然だという議論は十分に成り立つ。

しかし、各地の神社はあまりに多様であり、前近代的な習俗や民間信仰の類をあまた残存させており、「創られた伝統」の語で一括りに出来ないのも確かである。

例えば、宇治にある「橋姫神社」は、自分を捨てた男を呪って鬼になった女性を祀る。今でも「縁切り」を願って参拝する人がいるらしいが、ここに思想性だの哲学だのを見出すのは難しい。

http://gompa.seesaa.net/article/417353655.html
http://gompa.seesaa.net/article/417466424.html

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ただ、「縁切り」を大々的に打ち出して金もうけをたくらむのでもないらしい。境内は小さく、祠もごくシンプル。近くの平等院は観光客であふれているのだが、ここはひっそりしている。

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何やら木札が打ち立てられていて、「ここ橋姫神社は、高浜原発から75km、大飯原発から74q、美浜原発から91km、敦賀原発から98km、高速増殖炉もんじゅから96q」と書いてある。定めし、ここの神主が何か言いたくて書いて見せたのだろう。

あるいは「神道に思想性がない」などと言ったら怒られてしまうぐらいに、神道家としての強い矜持のもとに書かれたものかもしれない。

それでも、その「思想」を押し付けてはいない。いや、主張はしているのかもしれないが、少なくとも明確ではない。後は自分で考えてね、という感じに思えた。

ただ、神社本庁の考えとは違うのかもしれないということが示唆される。

結局、神道の特徴は、思想性のなさなんだと思う。

*橋姫神社
神道
〒611-0021 京都府宇治市宇治蓮華47
0774-21-2017
(JR奈良線「宇治駅」から徒歩10分、 京阪電車宇治線「宇治駅」から徒歩10分。宇治橋西詰近く。あがた通りを少し南に入ったところ。)
管理人の訪問日:2018年1月20日
posted by HIRO at 09:34| Comment(0) | 神道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

寿命寺(池田)

池田市内の国道に面したお寺の一室に、柳谷観音、愛宕大権現、弁財天、不動明王、弘法大師の像が置かれていた。各尊像の前に、几帳面にワープロで印字した名前が書かれている。

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柳谷観音は京都府長岡京市楊谷寺の、眼病治療にご利益があるという観音である。大阪府を中心に関西一円に信徒グループ「講」があり、池田市内にも存在する(楊谷寺 n.d.)。

愛宕大大権現は、京都愛宕神社の神の神仏習合の時代の名前。白馬に乗った甲冑姿である。池田市内では五月山に勧請されている。池田市内では、非常に愛宕信仰が盛んで、かつては百姓株(本百姓としての資格)を持つ者はすべて愛宕講に参加していたという(池田市史編纂委員会 1998:62)。地蔵信仰と習合しており、現在でも市内各地に愛宕を祀った祠が見られる。

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弁天はどこでも見られる信仰なのだが、これも池田を含む大阪府全域で蛇信仰が残っているのと関連があるのかもしれない(Ibid:209;358;375)。弁天信仰は蛇信仰と関りが深いから。

で、不動明王、弘法大師が祀られているのは、この浄土宗寺院がもともとは真言宗だったからだろう。本尊も今は阿弥陀如来だが、かつては薬師如来だった。

由緒書によれば、「呉織(クレハトリ)・漢織(アヤハトリ)の二女神が中国から来航する際の海上護身仏の薬師如来を祀ったのが寺の始まり」とのこと。

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『日本書紀』の記述によれば、クレハトリ・アヤハトリは技術移転のため来日した渡来人である。それぞれ池田市内の呉服神社・伊居太神社に祀られ、池田の人たちに機織りを教えたと伝承される。池田市史によれば「二つの神社は池田の町の創建に関わる伝承を持ち、池田の人々の精神的な中心となっていた」(Ibid:150)。池田の町を象徴する女神なのである。

http://gompa.seesaa.net/article/408673352.html
http://gompa.seesaa.net/article/400219497.html

つまり、この寺は、現在の宗派と無関係に、小さなお堂の一室で池田の宗教を集約する、池田宗教史博物館なのである。こんなところにこんないいものがあるなんて、何かすごく得したような気になった。


参考文献
池田市史編纂委員会 1998『新修池田市史』第5巻民俗巻 池田市
楊谷寺 n.d. 「別院・講一覧」『眼の観音様 柳谷観音 楊谷寺』
https://yanagidani.jp/about/list/

*寿命寺(池田)
仏教 浄土宗
〒563-0059 大阪府池田市西本町2-20
072-751-4676
(阪急「池田」下車。国道176号線を北東方向へ。猪名川にかかる呉服橋の東詰めより少し西。)
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posted by HIRO at 20:57| Comment(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする