2018年11月23日

永観堂禅林寺

最近、紅葉の宣伝をするというので、阪急電車の吊り広告に永観堂が出ている。車両全部の片面がすべて永観堂になっていたりするから、よっぽど金があるんだろうと思う。

朝の京都線で座れなかったりすると、十三から烏丸まで嫌でもこの吊り広告が目に入る。永観堂というのは何か私の中に妙な思いを掻き立てる不思議な寺なので、十三から烏丸までずっと妙な思いを掻き立てられているわけだ。

永観堂1.jpg


いったい、あのそっぽを向いた阿弥陀如来像が気に食わない。

学生時代、永観堂の阿弥陀如来像を見たとき、何とも言えない衝撃に襲われたのを覚えている。

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本来正面を向いているはずの仏像の首がひねられ、横向きになっている、、、。あまりに奇をてらい過ぎではないか。これを製作した仏師の過剰な自意識の表れとしか考えられなかった。

「ホラ、こんなことをしてはみっともないだろう?無様だろう?ふふふふ、、、、、」

永観堂3.jpg


ほのぐらい仏堂の中、一人この仏像と対峙し、如来像がそっと語りかけてくるのを感じる。もちろん、こちらに顔を向けず、そっぽを向いたままである。

「でもね、、、君だって同じじゃないのかい?」

悪夢のような仏像だ。

その後、実はこの仏像が決してウケ狙いをして滑っている恥ずかしい作品ではなく、むしろ高い評価を受けていることを知る。

そもそもこれを造った仏師の自意識過剰ではなく、それ以前の中国にも「そっぽを向いた如来像」の作例はあったらしい。

永観堂4.jpg


最初の訪問から20年はたっただろう。だいぶ年をとってから、再び永観堂を訪れた。こんな大きな寺だったろうか、こんなに参拝客は多かっただろうか、と思いながら。

かの、ほのぐらい仏堂の中にもたくさんの善男善女。ある人は感心したような眼を向け、ある人は恍惚感にひたって、殊勝に有難い阿弥陀如来像を礼拝していた。

「ははははは、どうだ。ウケてるだろう!!」

私は二度負けたような気持になる。

先方は、相変わらずそっぽを向いたままだった。

永観堂5.jpg


満員電車の中では、たいてい本を読んでいる。ずっと吊り広告ばかり見ているわけではないのだが、時々チラチラと目に入る。紅葉の季節に永観堂に行ったら、人が多くて大変だろうな、と思いながら。

*永観堂禅林寺
仏教 浄土宗西山禅林寺派
〒606-8445 京都府京都市左京区永観堂町48
075-761-0007
(市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分。)
2018年5月26日
posted by HIRO at 18:12| Comment(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする