2020年05月17日

仙行寺

私が大学院生の頃、ある日蓮宗の僧侶の人に、日蓮の独自性は何かと尋ねたら、「さあ、強烈な折伏主義じゃないですかね」という答えが返ってきた。では、日蓮宗よりも、むしろ日蓮系新宗教の方が日蓮の精神を継承しているではないかと問うと、あっさり「そうですね」と言われた。率直でいい人だと思った。

この寺族出身の女性は、他の寺の僧侶と結婚するために僧侶の資格を取ったという。家族も含めた俗世のしがらみを断つという出家の本義から考えれば、釈迦の仏教と隔たること甚だしい。

ただ、色んな意味で失礼なのかもしれないけれど、こういう風に状況や事情に対応して色々と変化していくことに、むしろ宗教の面白さを感じてしまう。

女性に頼る面が大きくなってきているというのも、日蓮宗に限らず各教派共通の変化であろう。だから、女性に対する配慮は現代の宗教にとって最も重要なテーマの一つである。

仙行寺3.jpg


例えば、七福神は通常、「大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋和尚、エビス」となっているから、七人のうち女性は弁財天一人だけで、明らかにバランスが悪い。

その点、雑司が谷の日蓮宗寺院が中心にやっている「雑司が谷七福神」は寿老人の代わりに吉祥天を入れ、福禄寿を「華の福禄寿」という女神にしているので、弁財天と合わせて三人が女性になる。

仏教にとっては神祇信仰はあくまで方便であるから、結局あまりまじめに考えなくてもいいのだろう。とはいえ、性別まで変えるというのはなかなか大胆である。日蓮的な厳しさや頑なさよりは、もの分かりのよさや臨機応変性が顕著ではないか。

雑司が谷鬼子母神堂でこの七福神の案内を目にして興味を覚え、「華の福禄寿」を祀る仙行寺に行ってみた。

仙行寺1.jpg


行ってみたら、でかいビルだった。ビル型納骨堂である。いや、なかなかでかかった。外観はマンションのようだ。

そのビルの薄暗い一階の一角、ガラスケースの中に「華の福禄寿」が鎮座している。なかなか可愛らしいゆるキャラ的な女神像。結構子供受けするかもしれない。もともと爺さんを女性キャラにするという発想自体が、漫画やアニメのノリである。

仙行寺2.jpg


近くにシックな大仏も安置してあった。薄暗いビルの一室にぬぼーっと浮かび上がる感じは独特の凄みを感じさせる。

上の階には行かなかったけれど、老人が参拝しやすいような納骨場所が立ち並んでいるのだろう。

雑司が谷鬼子母神堂のあざといまでのレトロぶり、昭和臭さとは対照的。ただ、レトロ演出もビル型納骨堂も、二つながらに仏教寺院が一生懸命現代社会に対応していこうとする試行錯誤の一環なのに違いない。

すぐ近くには、教義的にもっと厳格で頑なさを売りにしている別宗派の法華系寺院があり、そういうコントラストも妙に面白かった。

各種各様、色々と企業努力している感じ。日蓮の独自性とは何かと問う一般人の気楽さとは比べ物にならない苦労があるのだろう。

外野で勝手に面白がっているのは失礼なのかもしれないけれど、、、

*仙行寺
仏教 日蓮宗
〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目20−4
03-5928-3213
(東京メトロ有楽町線「東池袋駅」1番出口より徒歩4分。グリーン大通を池袋方向に進み、東池袋の交差点を超えてカフェ・ド・クリエで左折、直進してシアターグリーン通の所で右折、シアターグリーンの隣。)
管理人の訪問日:2019年1月18日
posted by HIRO at 09:32| Comment(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする