2014年05月01日

天寧寺(安陽)

仏教 中国仏教
中国河南省安陽市文峰南街2
(0372)5923227
バス18、21、25、26、31、32、34、36、39、46、特1路「文峰塔」。
管理人の訪問日:2014年3月28日

お寺めぐりの目的を「仏像鑑賞」と考えている人は多い。

「寺旅研究家」の吉田さらさは、お寺めぐりの最大の楽しみは「仏像との出会い」だという。癒し効果があるそうだ(吉田2008:6-8)。

とはいえ、中国でお寺めぐりをしていると、なかなか美術的価値のある仏像には出会えない。古寺でも、日本ほど「どこどこの寺にはどのような由緒のある仏像がある」という類の話は聞かない。中国人で仏像を目的に寺院参観をしている人はあまりいないと思う。

中国では、仏像よりは仏塔を目当てにして古跡を巡っている人が多いようだ。古い仏像はさほど残っていないが、塔は兵火(を免れはしないが)に耐えて残るものが多いから。

私は、仏像でも塔でも庭でも建築でもその中の小道具でも周囲の景色でもそこにいる人間でも、とにかく色んなものが作り出す雰囲気を楽しむようにしている。

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塔と言えば、安陽の天寧寺は、「文峰塔」という塔で有名だ。春うららかな日ざしの中、寺と塔を見に行ってきた。

文峰塔は五代後周広順二年(952年)の建立というから相当に古い。高さは約40メートル。五層の塔はレンガと瓦、木で造られているが、一番上に白いチベット式仏塔がちょこんとのっているのがかわいらしい。清代に付け加えられたものという。

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寺はラウンドアバウトの中央島にあって、常に周りに車通りがある格好だ。遠くからでも文峰塔が分かるが、近づくにつれ、だんだん寺を囲む花々が見えてくる。ちょうどライラックが盛りの頃。可憐な薄紫の花をほころばせていた。

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門前に小さな祭壇があった。如来を描いた仏画の左右に観音、財神の小像。素朴な信仰が息づいている。

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境内では、地元のおばあさんたちがベンチに座って歓談していた。のどかでやさしい憩いの空間。

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で、仏像は、と山門の仁王様を見れば、、、、

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何これ?こんなんでいいのか?想像を絶するクオリティの低さ!東大寺南大門金剛力士像に謝れ!

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とはいえ、ここで憩っているおばあさんたちは誰もそんなことは気にしていないらしい。驚愕する私を尻目に歓談に打ち興じている。仁王像といえばすぐに東大寺南大門金剛力士像を思い浮かべるのは、日本人の悪い癖だ。

「こんなんでいいのか!?」と聞かれれば、天寧寺の仁王様はお答えになるだろう。

これでいいんだよ、気にしなくていいんだよ、何をこだわっているの、どうして他と比べるの、そんなにムキになることはないでしょう、君は力が入りすぎているのさ、まるで東大寺南大門金剛力士像のようにね、、、

仁王様の声ならぬ声を聞き、私の心もふっと軽くなる。まあ、いいか、、、

咲き誇るライラック、歴史の星霜を生き抜いてきた仏塔、おしゃべりする地元の人々、ポカポカいい天気、子供の落書きをわざわざ立体化着色したようなふてぶてしい仁王様、、、、

ああ、癒される、、、、

どんな仏像も何かしら人を癒す。そして、どんな仏像に癒されるかは、その人がどれだけちゃんとした人かによってかわってくるのだ。

吉田さらさ、2008『京都、仏像をめぐる旅』集英社be文庫.
posted by HIRO at 11:06| Comment(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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