2014年12月19日

伊居太神社(尼崎)

池田の伊居太神社(いけだじんじゃ)に行った時から、尼崎の伊居太神社(いこたじんじゃ)にも行きたいと思っていた。

http://gompa.seesaa.net/article/400219497.html

平安時代の法典である『延喜式』には摂津の「伊居太神社」という名があり、池田の方も尼崎の方も、「うちがそうだ」と言っているのだという。『延喜式』に載っている神社は「式内社」といって、格が高いということになっているので、両神社とも譲れないわけだ。

DSCN5238.jpg


それで尼崎の伊居太神社に行ったのだけれど、まあ池田の伊居太神社に似ていないこと。もちろん似ていなければならない義理もないのだが、ここまで違うのに双方が同じ神社の名を争っているのが不思議に思える。

まず、祭神がまるで違う。池田の方は中国から機織りを伝えた中国人女性が祭神になっているのだが、尼崎の方で鳥居脇の立て看板を見ると、「御祭神 武甕槌神(タケミカヅチノカミ)、天児屋根命(アメノコヤネノミコト)、経津主神(フツヌシノカミ)、姫大神(ヒメオオカミ)」と書いてある、、、

えっ、こういうのを「春日神社」というんじゃ、、、

由緒書を見ると、もともとはここに前方後円墳があったのだそうだ。坂合部という氏族の居住地で、いつかは分からないが坂合部氏族が古墳の上に祖神を祭る神社を建てたのが神社の始まりだという。だから、本来祭神は坂合部氏族の祖である「大彦命」のはずなのだが、現在の祭神にその名は見えない。

さらに、由緒書によれば、全盛期の藤原氏が当地を支配し、その祖神である春日大神を勧請した。江戸時代は青山氏がこの地を含む尼崎藩を統治したが、青山氏もまた藤原氏の後胤だという。

結局は各時代の支配者の祖先を祭った神社であるというわけだ。歴史の重層性が表れているようで面白いのだが、春日信仰系の神社は何か神様としてのインパクトに欠けるような気がしてならない。由緒書の最後は「家内安全厄除招福の神」だと締めくくられているのだが、そこまで漠然としていると一体何がこの人の得意分野なのかと思う。

DSCN5236.jpg


そういうご利益系のインパクトの薄さを補うためか、境内には真新しいお稲荷さんが造られていた。やはり商売繁盛の神様というのは、いつも一定の需要があるのだろう。

池田の方の神社はひっそりした雰囲気だったけれど、こちら尼崎の方は歴史の荒波に翻弄されている感がある。やはりだいぶ違っているようだ。

*伊居太神社(尼崎)
神道
兵庫県尼崎市下坂部4丁目13-26
06-6491-2039
(阪急「園田」・JR「塚口」・JR「尼崎」から市バス路線番号11・12番乗車 バス停「近松公園」下車すぐ)
管理人の訪問日:2014年11月3日
ラベル:日本 兵庫 神道
posted by HIRO at 23:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 神道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。tommyと申します。宜しくお願い致します。
私も、春日系神社というのも不思議なところだと奈良に行くたびにしみじみ思います。幕末明治の神仏分離がもたらした近代日本の寺社の標準的関係が、「あべこべの鏡像」になっているのです。
神仏分離とは「神『を』仏『から』分離すること」でしたから、神仏分離の洗礼を受けた寺社は、「神社のほうがすっきり明快となる(特に南朝由来とされた神社などは、プロテスタントの教会のような極度の簡素さを備えることすらあります)」「寺院のほうが古い混淆形態をひきずる」のが普通です。
ところが、春日大社の場合、神社の側に混淆的体質が色濃く残っていて、明治神道的な教条的単純性がなく、信仰の奥行きは深いのですが焦点が定まりません。むしろ興福寺のほうが、「何もかもを切り落として、僧侶の信仰だけがぽつんと残った」という、見方によっては「近代の神社的」な雰囲気を漂わせています。
春日信仰といっても、関東の「本家」である茨城県鹿島神宮の雰囲気は全く異なりますので、「神様の個性」の問題というより、春日大社を筆頭に、畿内周辺の春日神社が明治以来引き継いだ、何らかの宗教的個性の反映なのだろうと思います。
Posted by tommy at 2015年02月13日 21:53
tommyさん、ご教示有難うございます。お返事遅れてすみません。
ご指摘、なかなか興味深く拝読しました。神仏分離の時、興福寺の僧侶がどんどん還俗して春日社の方に行ったので、神社の方に「混淆的体質」が残されたということでしょうか。「あべこべの鏡像」という言い方も面白いですね。
Posted by HIRO at 2015年02月17日 23:15
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