2015年03月02日

南城清真寺

カリフ制を支持するイスラム学者・中田考の著書を読み、軽い違和感を覚えた。「ムスリムはラーメンを食べないと思う」と書いていたから。

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「日本にいるムスリムは豚骨ラーメンどころか、ラーメン一般を食べないと思います。たいていチャーシューがのっていますから。それならチャーシュー抜きならどうか。そうなると、『クルアーン』と『ハディース』を精読して、預言者が伝えた神意の意味をどう解釈するか、考え抜かなければなりません。」(中田 2015:52)

しかし、私にとっては「ムスリムといえばラーメン、ラーメンといえばムスリム」だ。

中国では、全国津々浦々どこの街に行ってもほぼ必ず回族が経営するラーメン屋がある。もちろん「ハラール」。イスラムで許された食材のみを使うレストランだ。本当にどこに行ってもあり、都市の景観の一部になっている。

回族と回族のイスラム文化は、あまりにも中国の都市の風景に溶け込み、埋没してしまうような場合さえある。

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昆明で見たモスク、「南城清真寺」は繁華街の喧騒――アイスクリーム屋のパラソル、靴のセールのお知らせ、ホテルの電光掲示板、派手な色合いの看板、、、――の中に埋もれかけていた。入口で白い帽子の若い女性がハラールのスナックを売っているのが、わずかにイスラム色を感じさせる。

現在、政府機関に近い「昆明市イスラム協会」というのが置かれているこのモスク。ここまで中国社会に溶け込むには紆余曲折があったようだ。19世紀に雲南の回族が清朝政府に反乱を起こした時に、このモスクは軍隊によって破壊されている。その後、壊した側であるはずの清朝の役人が再建した(馬 2009)。

また、外から見ただけではわからないが、このモスクにはアラブ語、ペルシャ語だけでなく、中国語で書かれた多数のイスラム教典籍が蔵されているという(Ibid)。中国語の典籍は、馬徳新など「回儒」と呼ばれる学者たちによるもの。彼らは中国の儒教とイスラムとの接合を図った人々だ。巨大な文明の中の異分子として、避けて通れない仕事だったのだろう。

つまり、このモスクは中国の風土に根付いた、中国人のためのモスクなのである。良くも悪くも、、、

ある宗教が民族も国家も超越した理念を志向していたとしても、その地域の文化を受け継ぎ、周囲とどのように共存するのかを考えなければ、その環境で生きていくことは出来ない。

中国から帰国して、蘭州ラーメンが恋しい今日この頃、、、

参考文献
馬恩信 2009「昆明南城清真寺」『伊斯蘭之光』
http://www.norislam.com/?viewnews-7314
中田考 2015『イスラーム 生と死と聖戦』集英社新書.

*南城清真寺
イスラム教 スンニ派
中国雲南省昆明市正義路16号昆明穆斯林大厦B座
(バス2路「文廟」下車。人民中路から正義路へ入り、南下。)
管理人の訪問日:2014年2月2日
posted by HIRO at 18:10| Comment(0) | TrackBack(0) | イスラム教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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