2015年10月31日

天恩慈航寺

「二十四孝」というのは元の郭居敬がまとめた孝行譚である。親を養うために子供を埋めようとするとか、自分の体に酒を注いで親が蚊にさされないようにするとか、嫁が姑に母乳を与えるとかいう類。意図が分かりやすい一方で、極端に不合理なのも明確だ。日本では明治の昔に福沢諭吉が批判しているし(福沢 1984)、落語の題材にもなっている。

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これが昔から絵画や彫刻のモチーフにされて来た。日本の寺社、例えば西本願寺の門などにもあるのだが、あくまで古い中国の故事とみなされ、その意味に注意する人は少ないだろう。

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「二十四孝」は当然中国でもよく目にするのだが、山西省で修復中のお寺の壁にこの下絵を見た時、意外に思った。今から新たに「二十四孝」が描かれようとしている、ということは、「二十四孝」式の教訓の語り方が、「ネタ」ではなくある程度「ガチ」なものとして生きているということか。

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もちろん、ただの伝統的な装飾のモチーフで、大した意味はないという考え方もできる。しかし、「忤逆不孝報応図」という、おそらく「親不孝な悪者はこんなひどい地獄の責め苦を受けるぞ」という図案も描かれようとしていたので、やっぱり宗教的意図はあるんじゃないかと思う。

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そういえば、CCTVの公共広告に、やたらと「老人を大切にしよう」という内容が多かった。

とりあえずは精神論から入る少子高齢化対策か。

参考文献
福沢諭吉 1984『学問のすゝめ』『青空文庫』所収(初出は1872年)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/47061_29420.html

*天恩慈航寺
仏教 中国仏教
中国山西省大同市南郊区馬軍営郷小站村
(旅游1路バスで大同駅付近から行ける。「観音堂」下車。観音堂から少し東方向に歩く。)
管理人の訪問日:2014年3月23日
posted by HIRO at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 仏教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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