2015年01月31日

小桃園清真寺

中国の各都市では、マイノリティとして生きるムスリムの姿が見られる。

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上海の豫園の少し南側にモスクがあって、一般公開しているのは知っていた。たまたま豫園に行ったついでに、寄ってみたのが午後6時過ぎ。少し遅いかと思ったが、門が開いている。

あるいはもう「一般開放時間」を過ぎているかもしれないので、恐る恐る入り、出来るだけ目立たないように写真を撮っていた。

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そこに白い帽子をかぶった信者の一団がやって来て、次々に建物の中に入っていく。

すわ、追い出されるかと思ったが、完全にスルー。まるで自分たちしかいないが如くであった。私以外にも漢人のカメラ小僧がいたが、こちらも全く無視。

ビニール袋やら紙袋やらを手にしていた感じからして、おそらく近所の回族であろう。モスクは彼らにとってごく日常的な祈りの場になっているようだ。それでいて、そこに部外者が来てもとりわけ気にしない様子。人は人、自分は自分、、、

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もと外交官で作家の佐藤優が、一神教徒は「無関心に基づく寛容」の心ありと書いているが、まさにそんな感じ。「神様と自分との関係において自分だけが救われればいいと考えているわけ」で、「他人が何を信じているかということには関心が向かない」(佐藤 2014:37)。

日本でも、様々な形でムスリムに注目が集まるようになった。

「イスラム国」の人質事件が起きてから、日本国内のモスクが頻繁に日本のテレビニュースに登場する。そこでたいてい「ムスリムの人たちも過激派の蛮行には憤っている」ということが伝えられる。彼らは本心から発言しているのだろうし、日本人の偏見からムスリムが差別されるのを防ぐためにも、こういう報道は必要だ。

ただ一方で、何か割り切れないものも残る。「過激派に反対しているんですよね?反対してるところを見せてください」と詰め寄るのは、相手が潜在的に過激派と関連があることを匂わせたもの言いではないか。わざわざ、どっちの味方なんだはっきりしろと責め立てているようなところがある。

「人は人、自分は自分」がムスリムの基本姿勢なのであれば、「どの体制どの集団を忠誠の対象にするか」に関心がない人も多いのではないか。マイノリティならなおさらだ。他人が要らぬ圧力をかけるようなことがあってはならない。

参考文献
佐藤優 2014『サバイバル宗教論』文春新書.

*小桃園清真寺
イスラム教 スンニ派
中国上海市小桃園路52路
021−63775442
(地下鉄9号線「豫園」より徒歩10分)
管理人の訪問日:2013年5月4日
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2015年01月28日

文書寺

開封に「文書寺」という「寺」があるが、これはイスラムのモスクである。「文殊寺」という寺の跡に建ったから「文書寺」という名にしたのだそうだ(蓋 2014)。「文殊wenshu」は「文殊菩薩」の「文殊」で、「文書wenshu」と同じ音。モスクの名前なのに仏さんの名前から来ているわけだ。

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「文書寺」の周囲はいかにも中国といった中国の下町の風景。建物はおそらく「文殊寺」とは全然違っていると思われ、いかにも中東風。というか、おとぎ話に出てきそうな建物を一生懸命に造ったような感がある。

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門扉に「純粋天然蜂蜜モスク内にて販売」と書かれた古びた木板がかかっていた。今でも売ってるんだろうか。しかしなぜ蜂蜜?

当人たちにしてみれば、名前が「文書寺」なのも、周囲がゴミゴミしているのも、おとぎ話のような建物を建てたのも、モスク内で物を売るのも全部ごく普通のことなんだろう。

そのすべてがいい雰囲気を出している。

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参考文献
蓋巍 2014「開封文書清真寺簡史」『中穆網』
http://www.2muslim.com/forum.php?mod=viewthread&tid=571867&extra=page%3d6

*文書寺
イスラム教 スンニ派
中国河南省開封市順河回族区文殊寺街23号
(バス3路で「学院門」まで行き、解放路を少し北上、河道街で左折して少し西へ行った所にある。)
管理人の訪問日:2014年3月30日
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2015年01月24日

哈密王府清真寺

非ムスリムにイスラムは難しい。まずは偽善的啓蒙が大切だ。

新疆ウイグル自治区のハミで、「哈密(ハミ)王府」という、地方政権の王の居城を復元した観光地を見物した。

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ウイグル人ムスリムの居城だから、中にはモスク(清真寺)も設置されている。

中国風に西域風を加味したような不思議な建築。ツアーガイドの言うことを立ち聞きする限り、屋根は八角形だから「モンゴル式」なんだそうだ。シルクロードは民族の十字路だから、色んな要素が重層的に積み重なっている。

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確かに「民族団結」のよい宣伝になるだろう。中国文化は複合的にして多元的である、ウイグルのイスラム文化も中華文明の一部である、というわけだ。もともとそういうプロパガンタの意味も含めて造られた観光地なのかもしれない。

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一方で中国政府は、政府に批判的なウイグル人を一概に過激派と決めつける。欧米では反テロ感情が高まっているから、自分たちに都合の悪いムスリムをテロリスト扱いすれば、国際的理解が得られるとでも思っているかのようだ。

この種のネガティブキャンペーンが外国人にどの程度効果があるのか分からないが、漢民族のウイグル観、引いてはイスラム教観に影響を与えているのは確かである。ハミ・ウルムチ間の列車に乗り合わせた邯鄲出身の老婦人は、日本人に対しては偏見を持っていなかったが、自国のムスリムに対しては厳しかった。新疆で何を見るのかと聞かれ、モスクを見るのだと答えたら危ないからやめろと言われた。

中国文化の一部としてのイスラム、危険思想としてのイスラム、、、どちらもプロパガンタのための虚像の臭いがし、かつ他者理解が往々にして単純化を免れがたいのであれば、少なくとも出発点は友好的イメージでいいじゃないかと思う。

*哈密王府清真寺
イスラム教 スンニ派
中国新疆維吾爾自治区哈密市回城郷
(0902)2389158
(バス14路「哈密王陵」下車)
管理人の訪問日:2013年8月10日
posted by HIRO at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | イスラム教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする