2015年06月02日

旧フリューガ邸チャペル

神戸の異人館街に「外国人倶楽部」として公開されているところがあるが、その敷地の入口にカトリックのチャペルがある。聖母子像のイコンがなかなか見事だった。

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もともとここはフリューガという人の家のあった所で、その「プライベートチャペル」だという。昔は、西洋の大きな屋敷には、礼拝堂がついていたらしい。

ここが一般の入館者立ち入り禁止になっている。文化財保護のためかと思ったが、そうではなかった。

この異人館を運営するグループの「8館特選入館券(大人3,000円 小人800円)」を買うと、「ドレスサービス」というのが受けられるという。20着以上のドレスの中から好きなものを選んで着て、記念撮影をする場所が、このチャペルみたいだ(うろこの家 n.d.)。

こうなるともはや、キリスト教の中身は問題にされていなくて、ただの書割として利用されているだけである。

実際、日本でキリスト教を信仰する人は人口の1%を超えないということはよく言われてきた。昨今はさらに教勢が伸び悩んでいるらしい。東京基督教大学の調査によれば、キリスト教の信者数は2014年度で人口の0.82%。2010年度以降、カトリック、正教会、プロテスタントとも減少傾向にあるそうだ(クリスチャントゥデイ 2015)。

ただし、ペンテコステ・カリスマ系や単立教会では増加傾向にあるという(Ibid)。たいていは、古めかしいイコンや教会建築を持たず、ビルの一角で活動している人たちであろう。

http://gompa.seesaa.net/article/416799239.html

威勢のいい教団が伸びるのは結構だが、多宗教の共存を説く穏健派の教団が衰退しているとしたら、ちょっとかわいそうな気がする。

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面白いのは、「穏健派」の方の教会が持つ文化的な側面、チャペルや聖像などが、いまだに日本人の西洋への憧れの象徴として生き続けていることだ。果たしてこれは、彼らにとって喜ばしいことなのか、悲しむべきことなのか。

参考文献
クリスチャントゥデイ 2015「日本宣教リサーチ、最新の全国教勢調査報告発表 信者数は全体的に減少も一部教派で増加」『クリスチャントゥデイ』2015年6月1日00時35分
http://www.christiantoday.co.jp/articles/16188/20150601/jmr-2014-report.htm
うろこの家 n.d.「ドレスサービス」『うろこの家』(うろこグループの公式サイト)
http://kobe-ijinkan.net/publics/index/131#type001_131_1

*旧フリューガ邸チャペル
キリスト教 カトリック
北野外国人倶楽部(旧フリューガ邸・明治後期築)
〒650-0002 神戸市中央区北野町2丁目18-2
078-242-6458
(JR神戸線・阪急神戸線・阪神電車・神戸市営地下鉄・ポートライナー「三宮」からシティーループで「北野異人館」下車。)
管理人の訪問日:2015年3月31日
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2015年04月25日

徐家滙聖母院旧址

ロシア政府が、サンクトペテルブルクの大聖堂と修道院をロシア正教に返還したことが報道されていた。ソ連共産党が1922年に接収したものというから100年ごしだ。近年はコンサートホールになっていたという(CJC通信 2015)。

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この話を読んで思い出したのが、上海の徐家匯で見た昔の修道院の建物だ。19世紀に宣教師によって建てられた女子修道院だが、今はレストランになっている。

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改めて確認してみると、20世紀末にここのシスターたちが浦東に越したので教団が賃貸に出したのだそうだ。なぜか私は、共産党に接収されたのをレストランにしたのだと思い込んでいたが。

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この修道院の名前、「聖母院」というのはパリの「ノートルダム」というのと同じだから、こじゃれた洋風レストランの宣伝になるのだろう。

宗教そのものは浮き沈みがあるが、「文化財」とりわけ有名観光地の看板が依然として集客力を持つ、というのは世界的な現象か。

共産主義対宗教、という対立軸は問題にならなくなって久しい。

CJC通信 2015「歴史的大聖堂がロシア正教会に戻る」『クリスチャントゥデイ』2015年4月21日12時02分
http://www.christiantoday.co.jp/articles/15878/20150421/russian-orthodox-church.htm

*徐家滙聖母院旧址
キリスト教 カトリック
中国上海市徐滙区漕渓北路201号
(地下鉄1,9,11号線「徐家匯」下車)
管理人の訪問日:2013年10月5日


追記
西欧では教会出席率が低下し、教会が売りに出されることもあるのだそうだ。天井の高さが注目され、サーカスの練習場やカーペット店になっているという。キリスト教と逆にイスラム教がのびているので、教会がモスクに変わったり、同じ建物を昼はキリスト教が使って夜はイスラム教が使う例もあるとのこと(岡本 2015:14)。

岡本亮輔 2015『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』中公新書.
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2015年04月05日

純福音神戸教会

高校時代の友人と神戸を歩いていた。南京町界隈の路地で、テナントビルに入った韓国系の教会を見る。「純福音神戸教会」。ビルに付設された街灯に赤い十字架。そういえば、昔韓国行ったね、という話になった。

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昔、といっても本当に昔。我々の修学旅行の頃だから、1989年である。まだKポップも、韓流ドラマも日本で知られていなかった。

修学旅行のソウルで見た風景。十字架の形をしたネオンが夜の街でたくさん光っていた。

私たちの学校は神戸市内のミッション系だった。修学旅行の引率は在日韓国人のイエズス会士である。先生あれ何ですかと聞いてみると、プロテスタントの教会だと言われた。

ああ、韓国の教会はこうなのか。日本の教会とだいぶ違うなと思ったことを思い出す。

その種の教会が、いつの間にか神戸にも出来ていた。ネオンでこそないものの、夜にはビルに赤い十字架を灯すのだろう。

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この「純福音教会」はペンテコステ派で、汝矣島に世界最大規模のメガチャーチを持っているという。在来のシャーマニズムの影響を受けており、現世利益を認めることで教勢を伸ばしたという指摘がある(浅見、安 2012:25-27)。

かつて一緒に神戸からソウルに行った旧友と、今になって神戸でソウルの教会を見る、というのは妙な気分。この間、実に色んなものがあちらから入って来るようになった。

既に、イースターやクリスマスの形で、ケルトやゲルマンの古い風習が日本に伝来している。韓国系プロテスタントを通して朝鮮の民俗が流入しているとすれば、キリスト教文化というのもまことに一筋縄ではいかぬ面白さがあると思う。

参考文献
浅見雅一、安延苑 2012『韓国とキリスト教 いかにして“国家宗教”になりえたか』中公新書.

*純福音神戸教会
キリスト教 プロテスタント ペンテコステ派
650-0022兵庫県神戸市中央区元町通1-4-8カナエビル3F.
078-332-6815
(JR・阪神「元町」から徒歩5分ほど。南京町と元町一番街を結ぶ東龍街という路地にある。)
管理人の訪問日:2015年1月3日
posted by HIRO at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | キリスト教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする