2015年01月26日

バトゥ洞窟

「珍スポット」あるいは「B級スポット」の宗教版が「珍寺」である。これは日本にも台湾にもタイにもある。宗教と娯楽が融合した感じ。キッチュでチープで外連味があり、どことなく昭和の香りが漂う空気感。やはり我々仏教文化圏・多神教文化圏のもので、一神教の厳格さにはそぐわない。

とはいえ、イスラム教国・マレーシアは華人系・インド系を多数擁する多民族国家。しっかりと珍寺が存在した。

クアラルンプール郊外の「バトゥ洞窟」はヒンドゥー教の聖地で、いくつかの洞窟にヒンドゥーの神々が祭られている。祭られているが、造りがタイガーバームガーデンのような安っぽさなので、何か崇高さに欠けるような気がした。ある洞窟は神像が陳列してある奥が爬虫類館になっていたし、「ボリウッド」風ダンスを見せる小ステージも併設されている。

参拝に来るインド系の人々も、たいていはカメラを持っていてピクニック気分のようだった。

インド系に混じって、華人系、白人系の人たちもいたが、こちらは明らかに観光客。少数ながらマレー系ムスリムの観光客もいた。

シヴァ神の神像の前で、はしゃぎながらその格好を真似て写真撮影をしているマレー人の女子学生たち、、、ベールをかぶりながら「偶像」を弄ぶのは、イスラム的にもヒンドゥー的にもきっとすごく「罰当たり」なのだろうが、お祈りに来ているインド人たちがそれを気にしている風でもない。物見遊山と巡礼が一体化したその場の雰囲気にあって全く違和感はなかったし、もっといえばマレーシアという国そのものの「ゆるさ」とも合っている気がした。

冒涜行為は許されないということはあるにしても、やっぱり日本人にとってほっとする光景だ。マレーシアの宗教はマジではない。怖くない。国教がイスラム教ではあっても、宗教警察でさえそんなにきちんと仕事をしていない。

私がバトゥ洞窟に行った同じ月、少し北のタイ南部ハジャイでテロがあって、人が死んだ(newsclip 2012)。その少し前に私はその町を訪れている。

タイ領内のマレー系の人々で、独立を目指している人々による犯行だという。彼らがイスラム過激派になっているのだそうだ。

マレー系ムスリムも一様ではない、というのは当然の話。ただ、徹頭徹尾「マレー系ムスリムはゆるい」ということにしておきたかった。そうでないと、私の脳内でテロを「他人事」にしておくのに、何となく都合が悪いような気がして。

「みんな同じアジア人じゃないか。こんなの日本にもあるよ。こんな女の子はよくいるよ、、、」そんなお気楽なことが言える幸せをかみしめていたいのだ。

参考文献
newsclip 2012「タイ南部ハジャイの高級ホテルでカーボム 3人死亡、400人超けが」2012年4月1日『日本語総合情報サイト@タイランド newsclip.be』
http://www.newsclip.be/article/2012/04/01/13710.html

*バトゥ洞窟(Batu Caves)
ヒンドゥー教
Batu Caves Sri Subramaniam Temple, Kuala Lumpur 68100, Malaysia
60 3 2287 942
(KLSentral駅よりKTMコミューター(プラットホーム3より)から約30分。 「Batu Cave」下車、出口を出てすぐ。)
管理人の訪問日:2012年3月17日
posted by HIRO at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒンドゥー教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月18日

四面仏(上海)

バンコクの「エラワンの祠」と同じタイプのブラフマー(梵天)の祠は、華僑、華人系の人たちにすごく人気があって、外国にも広まった。中国語で「四面仏」と呼ばれている。

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ブラフマー神はもとバラモン教の神だが、仏教にも護法善神としてとり入れられている。日本ではインドラ神(帝釈天)とセットのことが多く、東寺講堂のものが有名だ。

ただし、タイ仏教の教理の立場から言えばこの種の神々は崇拝対象ではなく、バンコクの祠はあくまで「ヒンドゥー教の祠」という位置づけだ。

それが中国語で「四面仏」と言われている。もちろん「天」だから「仏」ではないし、「仏教のもの」と解釈していいのかも微妙だが、まあそんなこと気にしたって仕方ない。

この「四面仏」、上海にも複数あるのだが、正大広場というデパートの前にあるものが有名である。

バンコクではデパートの真ん前にいきなり金色の神像が祭ってあるのが面白かったが、これが上海でも見られるわけだ。東方明珠のはす向かいという立地もいい。

DSCN1481.jpg


ここにタイ風の祠があるのは、正大広場の経営者がタイ華人(潮州人)であることと関係があるのだろう。潮州系の人々は、タイでも中国系のお寺を造り、しっかりと故郷の信仰を守っているが、彼らがタイ風の信仰を中国にもたらしているというのが面白い。

管理しているのもデパートだとしたら、日本の会社にあるお稲荷さんのようなもので、「企業内神社」ということになる。中国のお店は関帝を祭るのが定番だが、タイから来たということでちょっと独自色を出しているのだろうか。

華人が色んな所に色んな物を運ぶ力には脱帽である。

*四面仏(上海)
ヒンドゥー教
中国上海市陸家嘴西路168
地下鉄2号線「陸家嘴」下車
管理人の訪問日:2013年9月7日
posted by HIRO at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒンドゥー教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月26日

エラワンの祠

Erawan Shrine (San Phra Phrom)
ヒンドゥー教
Pathum Wan,Bangkok, Thailand
バンコクスカイトレイン「Chit Lom」下車すぐ
管理人の訪問日:2012年3月23日

夜だというのに、参拝者は引きも切らなかった。

DSCN0366.jpg


地下鉄駅のそばで百貨店のすぐそばという立地のよさもあるんだろうが、よほどご利益が評判になっているのに相違ない。

祀られているのはヒンドゥー教あるいはバラモン教の梵天(ブラフマー)である。仏教圏のタイで大活躍だ。

このブラフマー、もともとはこの世を造った創造神であるから、ユダヤ教やキリスト教のヤーウェと同じ立ち位置だったはずだ。

とはいえ、インド系の思想というのは、人が何か言った後に「そういうお前をわしゃ食った」と言って相手を飲み込んでしまうずるさがある。仏教ではすべては因果の産物であるから、別に世界の一つや二つ創造したところで大したことはないのである。

してみると、仏教ではそもそも「神」というものの出番などないはずなのに、別にお払い箱にはならないところが面白い。

かくして「創造神」もそれなりのニッチで活動し、せっせと宝くじやら恋愛やらについてのお願いを受け付けている。本家インドでもあまり崇拝する人のいなくなってしまったブラフマー。こういう形で再就職の機会が与えられているのは、本人にとっても幸せなことではないか。
posted by HIRO at 20:38| Comment(0) | ヒンドゥー教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする